テーマ:ナポリ

【第五十八夜】 死者の街の入り口で

ベルギーの作家・ローデンバックに、小説『死都ブルージュ』があるが、ブルージュ自体は死んではいない。ただ土砂がつもって港が使用不能になったため、かっての貿易港としての繁栄を失い、死んだような街となってしまった、ということだ。その街を背景に、死んだ妻の幻影を街でであった女に見て、その女を追いかける、というのがその小説の筋である。ブルージュ(…
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【第三十二夜】 カモラのいる路上

元来が秘密組織であるので、その構成員がどんな風体をしているのか一般の市民にはしられていないのがマフィアである。それは日本における同様の組織構成員が一目でそれと知れるのとよい対照をなしている。 なんども総理をつとめたジュリオ・アンドレオッティがマフィアのメンバーだったと知れたことがあった。いろんな出来事にしごかれて、すっかりこすっか…
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【第三十一夜】 夜のスパーニッシュ・クオーター

男の好意でスペイン地区を参観する事になった。 男の運転する古いアルファ・ロメオは、ハンドルが三分の一ほど欠落していた。そしてあちこちガタピシいわせながらもどうにか動いていた。もちろん信号は、他の車同様に無視をして通り過ぎる。 トレド通りを北に向かって、ダンテ広場の手前を左に入った。そこは名高い、かのスペイン地区である。薄緑の街灯…
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【第九夜】 ナポリ、終わらない祭り

はじめてナポリへ行った時は、ローマから列車で入っていったのだった。ナポリへ入ると、昔の川崎かと思うほどの黒く煤けた工場が灰色の煙を吐き出しているのが沿線に見えた。いやな予感がした。来るべきところではなかった、と後悔しはじめていた。 ナポリ中央駅を出るともう夕方で、駅前広場のバスターミナルではバスと人とが入り乱れて、狂乱怒涛の革命前…
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