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【第五十三夜】 岸辺の鳴き声

それはたぶん寒さがわたしにそんな夢を見させたのであろう、と思う。事実、寒さで目が覚めたのであったから、そのとおりなのであろう。と信じたい。 わたしは暗い岸辺にいた。 もう雪は止んでいたが、日暮れが近づいていた。 このまま茫々とした荒れ野で夜を迎えるわけには行かない。しかしわたしはぜんぜん急ぐ気持ちや焦りはなかった。 …
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【第十九夜】 雪のように降るもの

空から降るもので雪のように美しいものはない。しかし歳をかさねるたびにだんだんとその美しさよりも、雪のもたらす日常生活の不便さに思いが至るようになってしまう。 雪は、空から降るというより舞い降りるというほうが適当な自然現象である。それは何かの天啓のように幼きころは思っていた。 雪が降るとあんなにも歓んでいたころの魂はいったい何…
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