【第五十二夜】孤独な労働

夢でわたしは工場にいた。その二階の事務所で急を聞いて下の階の生産現場に行くと、そこは積雪のように一面の白に覆われていた。

しかしそれは雪ではなかった。ちょうど豚の白身でつくるラードのようでもあるし、マシュマロのようでもあった。

何かの事故で化学製品が噴出したようにも見えた。

わたしは一人スコップをもってそれを排除し始めた。

わたしのほかには誰も見えない。

ひたすらその作業に励んだ。

苦痛は不思議と感じなかった。ただその作業に何の意味があるのか疑問ではあったが、とりあえずそれを片付けることが先決であると思った。

大きなポリ袋にスコップで少しづつ入れて、二三十は詰め込んだろうか。

ふとこれが毒性の物質だったら剣呑なことだなあ、とのんびりと思った。

およそ半分方はかたづけたころだろうか、ふと目が覚めた。

目が覚めてからも作業の行方が気になってぼんやりとその作業を想像していた。

いわば半睡状態であったのだろうか、まだ夢から覚めきっていないようなのだ。

なぜそんなつまらない夢が気にかかるのだろうか?

それが何かをわたしに告げようとしているからに違いない。

しかしわたしにはそのメッセージがわからない。

ただその白いものを排除してゆくときのわずかばかりの快感のようなものが手先に残っていた。

雪かきの手にズシリとくる重さとちがい、それは軽やかな作業であったからだ。

その作業は無駄な労力に見えて、しかしわたしにとっては実りあるものであるのだろうか・・・・・?


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